ミシンを選ぶ
◇初めての方のための”コツ”
ミシンは、何度も買い替える事が少ない商品です。
そのために何よりご自身に合ったミシンを選ぶのが一番最適なミシン選びだと思います。
一度手にして頂いたミシンを末永く、ご愛用頂くお役にたてればと思います。
価格を考えるのは一番最後に
ミシン選びで失敗しがちなポイントの一つは、希望予算が先行してしまうパターンです。
ミシンをあまりご存じないはじめての方に多いご要望で、ネットで購入される場合は予算を基準に選ばれます。
その結果、説明書通りにやっても『セットの仕方がわからない』『うまく縫えない』『商品が不良品』『キャンセル希望』『使わずにしまってしまっていた』などのお声を多く耳にします。キャンセルをお受けしても、ミシンの不良が原因のケースはほとんどありません。
価格が安いということは、各箇所の操作をご自身で行う必要が多くなります。
全てではありませんが、ミシンは簡易化され使いやすくなるとその分価格が上がり、価格が下がるほどご自身で覚えなければいけない事や行わないといけない操作が増える機械なのです。
ミシンは繊細な精密機械で時には微調整が必要な場合もあります。
使い慣れてくるとそんなに難しいものではありませんが、知らない方にとっては未知の世界の話になります。
便利な機能を知る
例えば、自動糸通しや自動糸調子、自動糸切り、有名な機能ですが、ついていると便利と聞いてもピンときません。
その機能がついていない場合にいどんなことをする必要があって、その機能のおかげでどれだけ簡単になるかイメージができないとその機能の良さがわかりません。
なぜその機能が便利なのか、どのミシンにその機能が付いているのかを知って自分に合った必要なミシンを探しましょう。
必要のないと感じた機能は無い方が価格がおさえられます。
お客様が必要と感じる機能が備わったミシンが見えてくると、自然と選択肢も絞れてきます。
その中でミシンを選ぶと失敗の少ないミシンをお買い求め頂けると思います。
あとは、ご希望のミシンをどう安く入手するかを考えましょう。
ミシン屋さんを利用する
ミシンにどんな機能があって、どんなミシンにその機能があるのか、はじめての方がそれを自分で探すのは一苦労です。
そこで、私たちの様なミシン屋さんを利用しましょう。
お店で聞くと高い商品を買わされそう、高い商品ばかりを勧められた。そんなお声もよく耳にします。
ご安心ください、私たちのお店はお客様のご希望に添えた商品の選択肢を広げるのがお仕事です。
ご来店の他、お電話やメールでのお問い合わせも”OK”です。ご案内する内容も変わりません。
そのあとにお客様ご自身で、ゆっくりご検討ください。
◇家庭用ミシン・刺繍ミシン
◇家庭用ミシン・刺しゅう用ミシン
家庭用ミシンはマルチ的な縫い方に対応したオールインワンのミシンです。
ミシン1台でロックミシンの”かがり縫い”や、すくい縫いミシンの”まつり縫い”など、いろいろなモノを作るのに必要な縫い方ができるので、初めてのミシン選びでほとんどの方が一番初めに購入を検討されるのがこのタイプです。
家庭用ミシンはピンポイント使用に適したミシンです。
その為、ミシンが好きで常時使用されている方や仕事などで毎日や週に数回など高頻度で常時使用する設計ではない為、ミシンの許容を上回って過剰に使用すると故障などの原因にもなってしまいます。
縫う素材によって、家庭用ミシンの機能ではまかないきれないことも有ります。
・ニット系だと伸縮性が高い生地の場合、生地が伸びた時に縫い目の糸が切れてしまう。
・厚地を縫っていると生地を貫通しきれずに止まってしまう。
・薄地を縫っていると縫いあがった生地がよれてしまう。
縫うものが決まっていない方や、必要になった時のピンポイント使用、ときどきモノづくりを楽しみたい、そんな方におススメのミシンです。価格帯も1万円程度から商品を選ぶことができます。
家庭用ミシン選びで確認しておきたいポイント
◇自動糸切り機能
糸切り機能が有るか無いかで使いやすさが全く変わってきます。
ボタンを押したり、フットコントローラーにある糸切りのスイッチを押すだけで自動で糸を切ってくれます。押えを上げる時には既に糸がキレイに切れているのでハサミを探したり余分に糸を引き出す必要も有りません。糸切り後に下糸を引き出す必要もない為、エコと時間に優しいとても便利な機能です。
◇自動糸調子機能
糸をセットしたら糸調子を自動で整えてキレイな縫い目に仕上げてくれるとても便利な機能です。
通常は上糸と下糸が均等の力で引き合い、縫い合わせた生地の真ん中に結節点(糸と糸の交わっているポイント)ができるのが理想と言われています。
それをある程度のクオリティで生地に合わせて自動で調節してくれるのが自動糸調子です。
ダイアルを回して縫い目の締り具合を微調整する事もできるので、初心者からベテランの方まで満足いただける便利な機能です。
◇押え圧調整機能
これができるかできないかで、縫える生地の幅や縫い仕上りが変わってきます。
生地がしっかり送られず、縫い目が詰まってしまったり、生地が縫い伸びや縫い縮みしてしまった経験は有りますか?
薄手の生地の時は押えの圧を弱く、厚手の生地の時は押え圧を強くすると仕上りが全く変わってきます。
また、滑ってうまく縫えないという生地も押え圧の調整で解決してくれることもあります。
押え圧の調整というのは、いろいろな生地を縫う上で欠かせない機能の一つです。
◇自動糸通しの仕様
細かい針の穴に糸を通す作業をストレスに感じられる方も少なくないと思います。そんなストレスを解消してくれるのが、針糸を簡単に通してくれる自動糸通しです。使いにくいからと使用していないと言う声もよく耳にします。
家庭用ミシンであればどんなタイプにも備わっている機能ですが、どのミシンでも同じと思っていませんか?
実はミシンの種類によって自動糸通しの使いやすさが全く変わってくるのです。
糸をセットして指でレバーを抑えるだけで針に糸を通してくれるモデルから、両手を使って糸を引っ張りながら糸を通すタイプまで、自動糸通しと言ってもさまざまです。そのため自動糸通し一つでミシンのセットが見違えるほど簡単になるモデルもあります。
◇ボタンホーラーの仕様
ひとえにボタンホーラー機能と言っても、手順や手間・仕上がりに大きく違いがでてきます。
セットした後、ボタン一つでホールの縁縫いから端の閂止めまで縫い上げてくれるミシンや、縁縫い、端の閂止め縫い、縁縫い、閂止め縫いと4工程に分けて行ったり、縫う針数も自分で行う完全マニュアルのミシンもあります。
また、ボタンのサイズをセンサーなどで感知して距離を自動で計算して縫ってくれるモデルや、アナログ式な仕組みでボタンのサイズに合わせて止まる仕組みのミシンなど、ボタンホールが縫えるといっても機能や性能が全く変わってきます。
『サイズがうまく安定しなくて、手動で距離を測ってボタンサイズに合わせて縫っている』というお声もたくさんお聞きします。
ボタンホーラーを使われる方は確認しておきたい機能の一つです。
◇アタッチメントの種類
代表的なアタッチメントは、”押え”です。ジッパーをつけたり、生地端ガイドに沿って縫ったり、テープなどを縫い付けたり、縫う場所や内容でさまざまなアタッチメントに交換して縫うことにより快適な縫製を楽しむことができます。
時には生地にや縫製箇所に合わせてアタッチメントを変えることで上手に仕上げられなかった部分がきれいに縫えるようになります。
ミシンによってアタッチメントの形状が違うので、ミシンに対応したアタッチメントを購入する必要が有ります。
当然ミシンによって使えるアタッチメントの種類も異なってくる為、より豊富な種類から選べる方がソーイングライフが広がります。
◇職業用ミシン
◇職業用ミシン
職業用ミシンは美しい縫い目にこだわった”直線縫い専用”のミシンです。
直線縫いをする専用のミシンなので、直線縫いをキレイに縫いあげる為の機能が充実しています。
ベッドが広いので大きな作品も作りやすいのが特徴です。
ミシン本体は静音性を追求し、アームカバーに至るまでアルミダイキャストフレームを使用しています。
工業用本縫いミシンとほぼ同様のミシンの構造になっているので、糸調子や生地の押え圧の細かい調整、工業用本縫いミシンと同じアタッチメントが使用できるなど、素材に合わせた縫製条件を選んで縫うことが可能な本格的なミシンです。
耐久性にも優れている為、内職や仕立て直しなど業務で使用されたり、大好きなミシンを高頻度で使用される方でも満足して長く使用することのできるのが職業用ミシンです。
初心者の方でも分かり易い使い方の為、初心者から上級者、プロユースの方までご満足いただけるミシンです。
価格帯は7~8万円台からお求めいただけます。
職業用ミシンを選ぶ理由
◇キレイな縫い目を実現
職業用ミシンは直線縫い(本縫い)の機能に特化したミシンです。
逆に言えば直線しか縫えないのです。では、なぜ職業用ミシンが重宝されるのでしょうか。
ミシン好きな人が、マルチ的な縫い方ができる家庭用ミシンではなく職業用ミシンを選ぶポイントは大きく分けて2つです。
1. 安定した鮮やかな縫い目
きれいな縫い目を作り出す条件は2つだけです。
『生地を安定して後ろに送り出すこと』と『上糸と下糸がきれいに引き合いしっかりと糸を締めること』です。
職業用ミシンは厚みや材質など、いろいろな生地に変えても、この2つの仕事を安定して行うことができます。
単純な内容ですが、様々な種類の生地に対して安定して行うことはとても難しいことなのです。
2. 優れた耐久性
職業用ミシンは工場で製造などで常時稼働している工業用本縫いミシンをモデルに家庭向けのコンパクト化されたミシンです。
そのため、工業用よりモーターや強度が劣りますが、優れた耐久性を備えたミシンです。
家庭用ミシンは個人で楽しむ趣味や少しだけお直しをしたい、そんな多場面、多用途のユーザーに向けたミシンです。そのため、長時間の連続使用や常時使用に向けた設計になっていません。
職業用ミシンは長時間使用にも対応したミシンで、部品なども劣化しにくく長く使用する事ができるため、買い替えをされる方も少ないミシンです。
職業用ミシン選びで確認しておきたいポイント
◇使用針の選択
多くの職業用ミシンでは工業用針が使用されますが、実は職業用ミシンでも家庭用の針が使用できるモデルが存在します。
針の違いとしては、針の取り付け部分『柄』の部分の形状です。
・家庭用針:半円
・工業用針:円形
柄の部分が半円の家庭用針は、針の差し込める向きが一定の為、簡単に取り付けることができます。
安定した向きで針の取り付けができるため、自動糸通しの機能も搭載されるのが家庭用針仕様の職業用ミシンの特徴です。
工業用の針は柄の部分が円形の為、自分で針の向きを合わせないと目飛びや針折れなどの事故にもつながってしまうため、知識を持って使用する必要があります。針の向きを確認する便利な針向き方向チェッカー(別売)もあるため初めての方でも気軽に工業用針を選択頂けるようになっています。
工業用針は家庭用針と比べ貫通力に優れていて、針の種類も豊富です。ミシン好きな人の中には工業用針にこだわってミシンを選ばれる方も多く見えます。
◇自動糸切り機能
自動糸切り機能はとても便利な機能で、ミシン選びの中で重要なポイントの一つです。
縫製工場でも自動糸切りが搭載されているミシンとされていないミシンとでは、作業効率が大きく変わってしまうほどです。
自動糸切りを行うことで縫い終わった後の糸始末が不要になったり、余分に糸を引き出す必要もなくなります。
次に縫い始める時には下糸の引き出しは必要なく、直ぐに縫い始めることができます。
現在のJUKI製の職業用ミシンは手元操作で行える他、フットコントローラーでも自動糸切りを行うことができるため、両手は生地に添えたまま縫い続けることができます。
とても使いやすい機能なので自動糸切りの有無はミシン選びの重要なポイントの一つです。
◇スピード調節つまみ
この機能も職業用ミシンを選ぶ時の大切なポイントになります。
職業用ミシンは車のアクセルの様に、フットコントローラーの踏み込み具合でミシンの速度を調整します。
スピード調整つまみはフットコントローラーを最大まで踏み込んだ時に動くミシンの最高速度を制限する機能です。
職業用ミシンは最高1分間に1500針ほどの速さで針が上下に動きます。
家庭用ミシンの場合、一般的な企画で800針/m~900針/m、最高速のモデルでも1,050針/mの速度です。
針の動きの速さと連動して送り歯も動いていくため、生地を送る速度も速くなります。
その速度をスピード調整つまみは200針/m~1500針/mの間で調整することができます。
※調整速度幅はメーカーや商品によって異なります。
フットコントローラーの操作に慣れた方には必要のない機能かもしれませんが、フットコントローラーの誤操作による加速を制限できるので細かく生地を回して切り返しを行う部分や曲線・短い距離を縫う時にも安全に縫うことができます。
特に家庭用ミシンから職業用ミシンへの買い替えを考えている方におススメの大切な機能です。
◇厚物用糸掛け
レザークラフトや帆布生地など、厚物生地をきれいに縫い上げるのも職業用ミシンの醍醐味の一つです。
家庭用のミシンではパワーが足りず、職業用ミシンを検討されている方も少なくないと思います。
縫いたい素材によっては通常モデルの職業用ミシンでも補えない厚みの素材だったりもします。
ご購入前にミシンの専門店に相談して適したミシンを選ぶのがよいでしょう。
上の画像の厚物用の糸掛けは後からオプションとして取り付けることができません。
そのため初めから厚物用糸掛けが搭載されているミシンを選ぶ必要があります。
レザーなどの糸の締まりにくい素材も、見違えるほど糸締りがよくなりきれいな縫い目を作り出してくれる重要なパーツです。
◇豊富なオプション
職業用ミシンはプロが使用する工業用ミシンのアタッチメントを数多く共有する事ができます。
その為、縫製する素材に合わせて最適な条件で縫うことができるのが大きな特徴です。
針や押えなど豊富な種類から素材に合わせてカスタマイズすることで、ハンドメイドの幅が大きく広がります。
1POINT豆知識
メーカーが販売している純正アタッチメントは実は、実際に販売されているアタッチメントの一部です。
ミシン販売専門店に相談するともっと多くのアタッチメントを紹介できます。
『押えの幅がもう少し違ったら』『この場所を縫う時に押えが当たってしまう』『ちゃんと生地を押えてくれない』などのお悩みの際には一度ご相談下さい。工業用の押えのサイズや形は状況に合わせて多種多様に存在します。
◇ロックミシン
◇ロックミシン・カバーステッチミシン
ロックミシン・カバーステッチミシンは前項目”縫い目の種類と用途“の最初に紹介した環縫いのミシンです。
環縫いはニット素材の加工に多く用いられます。
Tシャツや肌着・ジャージなどメリヤス生地など伸縮性のある素材を縫っていくには欠かせないミシンです。
特に、肌着やTシャツやトレーナー、スポーツウェアなど、着るときに生地を伸ばすことの多い服を作るときには必須のミシンです。縁のかがり縫いにはロックミシンを、生地の縫い合わせる部分にはカバーステッチミシンを使用します。
市販されているTシャツや下着などの縫い目を見るとほどんどが、カバーステッチミシンの縫い目で仕上がっているというほど、メリヤスの主力のミシンです。
ミシンの中にはロックミシンとカバーステッチミシンの機能の備わった複合機も有ります。
複合機の場合は中上級者向けのモデルの為、初心者の方ですと初めは少し戸惑われるかもしれません。
価格帯はロックミシンは3万円台から、カバーステッチミシンは6万円程度から、お求めいただけます。
ロックミシン選びで確認しておきたいポイント
◇用途を考えて糸の数や縫い目を選ぶ
一言でロックミシンといっても針や糸の数が異なってきます。
それには理由があって適したミシンを選ぶ必要があります。
ミシンによって対応できる針や糸の数が変わってくるため初めに確認しておきましょう。
〇1本針2本糸(オーバーロック)
布帛生地を中心に生地1枚の端を縁かがり縫いする場合に使用されます。
〇1本針3本糸(オーバーロック・巻きロック)
布帛生地を中心に生地2枚の縫い合わせや巻き縫いなどに使用されます。
〇2本針4本糸(オーバーロック)
ニット生地を中心に生地2枚の縫い合わせなどに使用されます。
〇2本針4本糸(インターロック)
布帛生地などで縁かがりと縫い合わせを同時に行う事ができる縫い目です。
3本糸のかがり縫いの脇をチェーンステッチで縫い上げます。
伸縮する箇所を丈夫に縫い上げるので特に袖や脇など、伸縮性が必要な部分に使用されます。
〇その他の縫い方、応用
◇自動糸調子ロックミシンにも自動糸調子機能が搭載されたミシンが存在します。
任意のメニューにつまみを合わせて切り替えるだけで自動で糸調子を整えてくれます。
糸の締まり具合が微調整できるつまみもついているので手軽にお好みの仕上がりに設定することができます。
ロックミシンで初めての方が不安になって購入に踏み込めない理由の一つが糸調子です。
逆にご自身で糸調子を合わせたい人はこの機能がついていないミシンを選ぶ必要があります。
◇自動糸通し
ロックミシンの購入で不安になるもう一つの理由が糸通しです。
ロックミシンの糸通しは針の糸とルーパーの糸をそれぞれセットします。
ここでは自動糸通しの種類をご紹介します。
・ルーパーの糸通し
吸い込み位置に糸をセットするとボタン一つでルーパーの先端まで空気の力で糸を送ってくれます。
電動で空気を送り出すモデルとポンプ式に送り出すタイプの2種類があります。
・針糸通し
針の糸通しも空気で吸い込むタイプと機械式のタイプがあります。
針糸通しの機能がついていないタイプもありますので事前に確認することをお勧めします。
◇かがり幅調節
メスの位置を左右に調整しカットする生地の端の位置によってかがり幅が変わってきます。
また、かがる糸の量を調節する爪の位置が動かせるタイプと動かせないタイプが有ります。
動かせるタイプの中でもメスと連動するタイプと別々で調整するタイプなど、操作性に差があります。
操作性だけでなく縫い仕上がりにも差が出てくるため確認しておくポイントの一つです。
・メス幅が調整できない
・メス幅は調整できるが爪の幅が調整できない
・メスも爪も調整できるが別々に調整する
・メスも爪も連動してワンタッチで調整できる
◇差動送り機能
差動送り装置とは、前と後ろの2枚の送り歯の運動量を変えることで、ニット生地や裏地などの伸縮素材を伸び縮みなくキレイに縫うための生地送り装置です。
■差動送り装置なし
布帛生地を中心とした、伸縮性の少ない生地端の処理に使用します。
■差動送り装置付き
ニット生地などの伸縮素材や布帛生地のオーバーロックに使用できます。
意図的にギャザー寄せ縫いや、袖山のいせ込みなどの応用もできます。
◇カバーステッチミシン
◇ロックミシン・カバーステッチミシン
ロックミシン・カバーステッチミシンは前項目”縫い目の種類と用途“の最初に紹介した環縫いのミシンです。
環縫いはニット素材の加工に多く用いられます。
Tシャツや肌着・ジャージなどメリヤス生地など伸縮性のある素材を縫っていくには欠かせないミシンです。
特に、肌着やTシャツやトレーナー、スポーツウェアなど、着るときに生地を伸ばすことの多い服を作るときには必須のミシンです。縁のかがり縫いにはロックミシンを、生地の縫い合わせる部分にはカバーステッチミシンを使用します。
市販されているTシャツや下着などの縫い目を見るとほどんどが、カバーステッチミシンの縫い目で仕上がっているというほど、メリヤスの主力のミシンです。
ミシンの中にはロックミシンとカバーステッチミシンの機能の備わった複合機も有ります。
複合機の場合は中上級者向けのモデルの為、初心者の方ですと初めは少し戸惑われるかもしれません。
価格帯はロックミシンは3万円台から、カバーステッチミシンは6万円程度から、お求めいただけます。
カバーステッチミシン選びで確認しておきたいポイント
◇自動糸調子カバーステッチミシンで懸念されるのが目飛びです。
大半の原因は糸の通し方か糸調子で、正しく合わせられないだけでも目飛びの原因となってしまいます。
そんなカバーステッチミシンにも自動糸調子機能が搭載されたミシンが存在します。
ただ、完全な自動糸調子ではなく針糸にのみ搭載されているためルーパーはご自身で調整しなければいけません。
縫い目の基準となる針糸が3本もついているカバーステッチミシンの針糸の糸調子が自動になることで躍進的に糸調子の難易度が変わります。
◇自動糸通し
糸調子と同じくらい難易度を懸念してしまうのが糸通しです。
ルーパーの糸の通し方も針の糸の通し方も複雑に感じてしまいがちなのがカバーステッチミシンですが、選ばれるミシン次第では糸通しの難易度が飛躍的に簡単なモデルも存在します。
・ルーパーの糸通し
吸い込み位置に糸をセットするとボタン一つでルーパーの先端まで空気の力で糸を送ってくれます。
一般的なカバーステッチミシンはミシンの後ろ側から本体の左を通ってルーパーに糸をセットします。
・針糸通し
家庭用の針の糸通しが付いていて3本の針に対応しています。
針糸通しの機能がついていないタイプも多いので事前に確認することをお勧めします。
◇ドロップフィード機能
ドロップフィードとは家庭用ミシンや職業用ミシンと違い、押え金が上がっているときに送り歯を下げてくれる機能です。
生地をミシンから引き出すときに生地が送り歯に引っかからないため、スムーズに生地を引き出すことができます。
もともと生地を外すのも慣れないと戸惑ってしまうカバーステッチミシンなだけにこの機能はとても使いやすくなる機能といえます。
◇刺繍ミシン
◇刺繍ミシン
刺繍ミシンは家庭用ミシンに刺繍の機能が追加されたミシンです。
そのため通常の家庭ミシンで行える機能はほぼ搭載されています。
自動糸切り機能や自動糸調子機能・自動糸通し機能・押え圧調整はほとんどの刺しゅうミシンに、ついている機能と考えてよいでしょう。
どのようなポイントで刺繍ミシンを選んだら良いのか一部をご紹介します。
価格帯は刺繍ミシンは15万円程度から、お求めいただけます。
刺繍ミシン選びで確認しておきたいポイント
◇刺繍サイズ
刺しゅうの入れられるサイズは10cm×10cmや18cm×13cmなどミシンのスペックによって異なります。
付属でついてくる刺しゅう枠の数やサイズも異なるため、あらかじめチェックしておきましょう。
◇カラーソート
カラーソートは複数の色の刺しゅう模様縫製時に、同じ色をまとめて縫う機能です。
何色もの糸使用して行う刺繍は都度糸の交換が必要になります。
カラーソート機能があれば、同じ色をまとめて縫ってくれるので糸を取り換える回数が減るのでとても便利です。
◇渡り糸カット
刺繍の縫製箇所が離れた場所に移動するときに自動で渡り糸をきるので、後からはさみで切る必要がありません。
◇データ取り込みや加工
・アプリ対応で、スマホやタブレットから刺しゅうデータの簡易的な編集や作成ができます。
・USBファイルで刺繍データをミシンに取り込めます。
・無線LAN対応ならミシン本体にデータを転送することができます。
・メーカーによってはユーザー登録により無料で追加刺繍データがダウンロードできるサービスもあります。
・ミシン専用の対応した刺繍データ編集ソフトがあると刺繍データの編集ができます。